プラダを着た悪魔

あの子みたいに可愛くなりたい。綺麗って思われたい。おしゃれをしたい。
私たちがそう思い始めたのは、何歳の時だったでしょうか。
公的な場でも、プライベートでも、私たちは常に「何を着るか、どうやって自分を飾るのか」という問いと戦っています。気炎を上げて一気に攻略するのも、背を向けておびえるのも自分次第。
しかし、この映画は「おしゃれ問題」に対する少なくとも1つの重要な姿勢を教えてくれました。
心の底から楽しんで、おしゃれを使いこなすことです。もちろんどの仕事についても言えることですが、私たちが日々身につけるものはすべて誰かの労働によってできています。
どの色のどんな形の服が売られるのか、ということも、すべて悩みに悩んで協議を重ね、ファッション業界で働く人々が決定しているものです。
そうして作り上げられた「おしゃれ」は、1つの強い力をもっています。自分の姿を見る相手と、自分自身の考えを変えてしまう、悪魔が使う魔法のような強い力を。
おしゃれを使いこなせる人はさしずめ、悪魔の力を手に入れた魔法使いでしょうか。
仕事と恋の間で揺れる女性、という前世紀から多くの作品に引っ張りだこのキャラクターを持った主人公が他のどの名作にも負けず劣らず色鮮やかなのは、主演のアン・ハサウェイがとびきり美しいからというだけではありません。
悪魔が支配する世界で手に入れた彼女の魔法が、全編にわたってたっぷり振りかけられているからです。