続激突 カージャック

スピルバーグの劇場用映画監督デビュー作です。
邦題からは映画「激突」の続編だと思われがちですが、そうではなく別物です。
もともと本国アメリカではテレビ用に作られた「激突」。放映時の評判が良く日本では劇場公開されてヒットしたため、この、真実の初監督劇場用映画が続編のように扱われたようです。
原題を日本語に訳すと「シュガーランドへ一直線」といった意味でしょうか。
夫婦が子どもを取り返しにシュガーランド(地名)に向かう話です。
物語は、交通刑務所に服役中の夫に妻が面会に来る場面から始まります。妻は夫に裁判所が子どもをシュガーランドに里親に出したと告げます。二人には子どもを育てる力がないと判断されたというのです。
シュガーランドに子どもを取り戻しに行こうという妻に、夫は今脱獄すると刑が長くなるといいます。
数日後には出所できるのです。が、妻は急がないと間に合わないと意志を曲げません。
気弱な夫は説得されて脱獄します。逃げる二人は、途中で怪しまれた警察官のパトカーをジャックし、警察官を運転手にシュガーランドに向かいます。
州をまたいでの逃走は騒ぎを大きくします。
面子を潰された警察はやっきになって夫婦を追跡します。
が、夫婦と共にいる警察官は、夫婦の行いが子どもへの思いからだけであることを理解して互いに信頼関係のようなものも芽生えます。
が、警察組織は黙っていません。最後には夫を射殺してしまいます。
実際に起きた事件をもとにしていることもあり、正義とは何かなど観終わったあとに深く考えさせられる映画です。
又、人間描写の光る作品であり、特に主人公である妻の描写においてスピルバーグ演出は冴えわたっています。
後続作品のジョーズなどで見せ方に天才的なひらめきを見せるスピルバーグですからカーチェイスのシーンは勿論ですが、なにげないシーンにもそれは活かされています。
一つ挙げれば、序盤に妻が夫を説得するシーン。
妻は泣き顔で夫に抱き着き激しくキスをしながら脱獄を訴えます。
夫は悩んで悩んだ挙句、妻をはねつけます。壁にたたきつけられる妻。
そのとき妻が見せる冷たい表情。豹変とはこのシーンのためにあるような言葉です。
妻のしたたかさといった性格も伝わってきます。スピルバーグの今までの人間ドラマのなかでも一、二を争う出来の作品だと思います。
これを見ずにスピルバーグは語れない、そんな映画です。
おまけ情報として音楽はジョン・ウィリアムス。ラストに流れる哀愁を帯びた音楽も名曲です。